【インタビュー】KIRITO、アルバム『ALPHA』に本当の集大成「人生の第三幕であり、最終章」

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KIRITOが11月15日、ソロ通算4作目にしてKIRITO名義によるソロ本格始動から2作目となるアルバム『ALPHA』をリリースした。吹き荒れる重低音、アグレッシヴであり流麗でもある旋律、高度なスキルに裏打ちされたダイナミックなボーカルなど、Angelo無期限休⽌からわずか1年足らずのうちにリリースされた前アルバム『NEOSPIRAL』には、圧倒されるほどの存在感と個性が確立されていた。それも完璧なバンド感とともに。以降、二度の全国ツアーや数々のライヴ出演はバンドサウンドのクオリティを押し上げ、一方でソロならではの枠を決めない可能性はますます飛躍を遂げた。そして、作り出されたアルバムが『ALPHA』だ。

◆KIRITO 画像 / 動画

「KIRITO史上最強に作り込んでいるアルバムを皆さんが聴いている、と考えるだけで身震いがします。また進化したモンスターKIRITOをお見せしたいと思います」とは、9月に恵比寿ザ・ガーデンホールで開催された<KIRITO Acoustic live 23’「Phantom Ⅴ -A different view-」>で語られた言葉だ。完成した1年ぶりのアルバム『ALPHA』には全11曲を収録。PIERROT、Angelo、ソロと歩みを止めることなく未知なる道を切り拓いてきたKIRITOの現在の集大成となった。

ギリシャ語アルファベットの第1字となる“α(アルファ)”は、初めの一歩を意味する言葉であり、最初と最後を意味する“the alpha and omega”は神の永遠を示すもの。アルバム『ALPHA』が完成した今、自身のスタンスについて「人生の第三幕であり、最終章」だと語るKIRITOの真意とは? その全貌を収録全曲の解説から紐解いていきたい。


   ◆   ◆   ◆

■全精力を注ぎ込んできたバンドたち…
■PIERROT、Angelo、そして今がある


──『NEOSPIRAL』リリース時から1年ぶりのインタビューになりますが、純然たるソロとして活動したこの期間はどんな日々でした?

KIRITO:あっという間に過ぎましたね。それぐらい必死にやってたんだろうなって。バンドをやっていた頃と感覚的には変わらないなと感じつつ、その一方で特に作品を作るという点では、作業的により大変になるわけで。今回『ALPHA』の制作はかなりハードだったけど、細かいところまでやりたいようにとことんやりきったので、充実感はすごくありますね。

──すべての責任を負う負担よりも充実度のほうが上回ったという。

KIRITO:まさにそういう感じです。すべての音に対して関わっているから、物理的な負担はバンドに比べれば当然大きいし大変ではあるんだけど、元々そういう風にやりたい人間なのはバンドの時から変わらないので。そういった意味では充実しているんですよ。

──そうしたなかでも動画チャンネル『KIRITO CHANNEL』などには、状況がどうあれリアルタイムで出演していましたが、ああいう場は気持ちがリフレッシュされるところもあります?

KIRITO:リフレッシュにはなるんですけど、いざレコーディングの現実に戻ると、“ヤバいな”っていうことは感じますよね(笑)。


──ははは。その“ヤバいな”というのは、予想以上に制作作業が難航していたわけですか?

KIRITO:そう。前作『NEOSPIRAL』と比べてもかなり難航してましたね。前回も相当作り込んだつもりなんですけど、そこで“もっとこうしたいな”っていう想いがたくさん生まれてきていたので。それらを踏まえて、前回感じたことは全部修正して、よりブラッシュアップして良いものを作りたかったから。なので、『NEOSPIRAL』の時よりもやることがかなり多かったですね。

──昨年ソロツアーをスタートさせた当初から、とにかく新曲を欲していましたよね。その辺りの欲求を今回のアルバムに落とし込んだという。

KIRITO:まさにそうですね。ひと言で言うと、今のライヴをやる上で必要な曲を徹底的に作ろうと。昨年ツアーを廻った時に当然『NEOSPIRAL』の曲がメインになるんだけど、それが10数曲あったとしても、ライヴ1本となると20曲以上やることになるので、やっぱり過去の曲を入れなきゃいけならないですよね。まあ、過去の曲も今の自分がやりたい形でリアレンジもしたんですけど、理想としては、今の自分から湧き出てくる曲でセットリストも統一したかったから。そういう意味で、やっとライヴのメニューを今の自分の曲で揃えられるなと。

──当然、初期のソロの頃と比べて求めるアプローチも違うでしょうし、歌詞のメッセージ性も当時と今とでは異なる部分は出てくるわけで。

KIRITO:そうですね。それに最初の頃の(キリト名義の)ソロの曲は、バンドがメインであった上で並行していたものなので。やっぱり自分の場合は、その時に自分がやりたいことはバンドに全部注いでいたから。それと並行するソロとなった時に、今思えば棲み分けが自分の中で少し不自然な部分もあったかもしれないし……それが『NEOSPIRAL』からは、本当に自分の100%をそこに入れられているという意味で、仮に今バンドをやっていたとしても「こういうことをやってますよ」って言えるような形になったと思う。それに加えて、ハードでヘヴィなものを年々求めるようになってきているから、以前バンドで出していた音と比べても、単純に音像は全然違いますよね。


──先行公開されたミュージックビデオ「BALANCE」の映像や『ALPHA』のアートワークをまず見て思ったのは、より自分自身の欲求に忠実になっているなということで。

KIRITO:ええ、そうだと思います。やりたいことしかやらないっていう感じですかね。

──だから、“KIRITO/キリトとは?”みたいなものを今一度形にすべく、もうヴィジュアルから歌詞から世界観から徹底的に突き詰めて残していこうという強い意志を、『NEOSPIRAL』以上に今回感じたんです。

KIRITO:まさにそのとおりで。やっぱり『NEOSPIRAL』からのソロ活動というのは、自分の人生としての第三幕であり、最終章みたいな感覚があるので。全精力を注ぎ込んできたバンドたち……PIERROTがあって、Angeloがあって、そして今があるという。で、最終的にこのKIRITOという形で集大成を見せるというのかな。自分が音楽をずっとやってきたその積み重ねの集大成っていう意識も今回のソロにはあるから。だから、“KIRITO/キリト”というものは果たして何だったのか、本当の集大成というものをどう形にしてちゃんと見せられるかを考えていましたね。

──PIERROTもAngeloも否定していない、“KIRITO/キリト史”が見える作品という言い方もできるのかなと思いました。

KIRITO:そうですね。自分の場合は、何かをなかったことにしてリセットするというやり方ではなくて、これまでやってきたことを全部積み上げた上で進化する、っていう表現になるので。だから、ストーリーはつながっていくし、たとえば『NEOSPIRAL』で提示した新しい螺旋構造というのは、いわゆる遺伝子や染色体を表していて、そこからまったく新しい種が始まる……『ALPHA』というのはそれを経ての究極の始まりというイメージですね。

──自身の最終章でありつつも、全体を通じて“新しくここから創り上げよう”っといったメッセージがちりばめられていますし。新約聖書にも出てくる“アルファ/オメガ”(“最初にして最後”の意など)をモチーフとしたコンセプトはいつから考えていたんですか?

KIRITO:コンセプトとして『NEOSPIRAL』からの『ALPHA』という流れは、『NEOSPIRAL』と同時期に生まれていました。だから、自分の中では2作品に分けて、ひとつのことを表現するという意識でしたね。ただ、どういうタイプの曲をやるかまでは考えていなくて、そこに関してはリアルタイムで“今やりたい曲”を入れようと思っていたので。その中には、重くて尖っていて攻撃的でという曲もどんどん生まれていたし、そこはあまり悩まなかったですけど。



──攻撃力の高い楽曲として、前作同様、冒頭から3曲目までの流れはひとつ強い印象を放ってますね。1曲目「THE ULTIMATE BEGINNING「ALPHA」」でのメロディのないシャウトで攻める様は、それこそ演説台でアジテートする画が目に浮かんできて。KIRITOさんの歴史を知る人であればニヤリとさせられる世界観だし、こういった幕開けが思い描くアルバムのスタートだったと。

KIRITO:そう。あの曲の雰囲気で世界観が始まって、さらにその後のライヴやツアーもイメージして生まれた曲です。そうしたエンターテインメント性も頭にあった上で作っていきましたね。冒頭の3曲は“こういう感じで攻めてきたらカッコいいだろうな”っていうものをそのまま形にしてます。

──「THE ULTIMATE BEGINNING「ALPHA」」は、「BALANCE」のミュージックビデオの世界観とも通じますね。また、歌詞で印象的だったのは“Unleash behavior and never stray again”(行動を解き放ち、二度と迷わない)の部分で、言い換えれば、今までを振り返った時には迷うこともあったということでしょうか?

KIRITO:どうでしょうね……そこは(YESとNOの)どっちとも言えるような気がしますよ。“迷いながらも”って部分もあったと思うし、そんな時でもどこかで答えを分かっていたところがあって……そこは常に共存していたんじゃないかな。

──アルバム冒頭でこういうフレーズが出てくるのは、自分自身を鼓舞しているようなところも?

KIRITO:うん、それもあると思いますよ。

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